「代表理事就任にあたって」
(NPO)ナノ構造研究会会員の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。今年度より代表理事を仰せつかり、現在、研究協会の更なる発展に向けた方向性を日々思案しています。その一助として、今年度「過去を振り返り、現状を鑑み、未来に向けたナノ構造ポリマー研究協会のロードマップ」を作成することを提起し、完成後には会員の皆様に発信させていただきたいと考えています。このロードマップで未来の方向性を明確にすることにより、講演テーマ、分科会、見学会などの企画が充実し、社会貢献に繋がることを期待しています。ナノ構造ポリマー研究協会のミッション・ビジョンは、「高分子材料への実用を通して経済や社会に大きな影響をもたらし始めているナノ構造ポリマー技術の研究の経緯と実現への道筋とを、広く社会に共有すること」です。そのため、ロードマップによる将来の技術動向を反映したナノ構造ポリマー技術の指標は、研究協会のミッション・ビジョンと言えます。
さて、2002年7月に新規に認証された(NPO)ナノ構造ポリマー研究協会は、昨年度20周年を迎え、2023年5月20日に20周年記念イベントがKKRホテル東京で開催されたことは、皆さまの記憶に新しいと思います。振り返ると、ポリマー技術に関する情報共有と会員交流の場として開始したナノ構造ポリマー研究会(講演会&見学会・交流会)、ベンチャーを支援する位置づけの分科会であるMOT プロジェクト、その後、法人会員を中心とするナノの視点でのポリマー材料、成型加工の分科会であるTPE技術研究会、マイクロ・ナノ加工研究会が発足し、その活動も加速してきました。
現在、ナノ構造ポリマー研究会、TPE技術研究会、マイクロ・ナノ加工研究会の三つの研究会は継続していますが、2020年からの新型コロナウィルスの猛威により、すべての行事がオンライン開催となり、対面式と同様の活発な議論には至らず、会員の皆様にはご不便をおかけしたと思います。が、会員の皆様、企画幹事メンバーがオンラインに慣れてきたようで、新たに2021年度からコロナ渦を踏まえたnano webinarによるオンライン講演会を開始し、ナノ構造ポリマーを取り巻く最新の状況を発信させていただき、活発な議論もできるようになりました。さらに昨年度の行事において、2022年11月1日に開催された第21回ナノ構造ポリマー交流会では、ブリヂストン殿のご厚意により、3年ぶりに現地での見学会(ブリヂストン・イノベーション・ギャラリー、ブリヂストン・イノベーション・パーク)&講演会をオンラインと対面で開催しました。残念ながら、宿泊&懇親会開催はできませんでしたが、改めてFace to Faceの重要性を再認識しました。また、2022年度のマイクロ・ナノ加工研究会では、毎回、現地での対面による見学会、オンラインも含めた講演会を開催できるようになりました(ただし、終了後の懇親会は有志に限定されています)。今年度以降のナノ構造ポリマー研究協会の各行事では、withコロナ、afterコロナを踏まえ、オンラインと対面を考慮した開催を企画していきます。
ところで冒頭で紹介させていただいた未来に向けたナノ構造ポリマー研究協会のロードマップですが、作成にあたり私感ですがポリマーにおける社会課題や将来展望技術のキーワードを下記にまとめてみました。会員の皆様に関心を持っていただき、ロードマップをベースとして“ワクワク”するディスカッションができることを期待しています。
社会動向:環境と調和した経済・社会システム(地球温暖化、自然災害)
社会目標:カーボンニュートラル、SDGs、サーキュラーエコノミーに基づくオールジャパンによる共創
社会課題:海洋プラスチック、マイクロプラスチック、4R(リサイクル、リユース、リデュース、リフューズ)、効率的な回収と焼却/不法投棄
将来技術:資源循環型、易リサイクル、生分解性&バイオマス、DX
将来の社会動向の変化に伴うナノ構造ポリマー技術のイノベーションに関する情報を会員の皆様に提供する施策として、今年度より若手理事の登用を進め、(NPO)ナノ構造ポリマー研究協会の各行事の変革を進めていきたいと思います。最後に、会員の皆様には、ナノ構造ポリマー研究協会の活動にご賛同いただき、活発な意見交換&ネットワーク構築の場になることを祈念し、代表理事就任の挨拶とさせていただきます。