20231106 第16回nanowebinar
ナノ構造ポリマー研究協会では2020年度よりnanowebinarを企画し、オンライン配信による講演会を実施しています。
今年度もその企画を継続し、年3回の開催を行う予定にしております。
第16回nanowebinarでは、江南大学金子達雄氏より「高分子の超耐熱化に資するアンチ共鳴安定化」と題し御講演をいただき、また、花王株式会社生物科学研究所髙橋史員氏、野中鏡士朗氏からは、バイオマスを出発物質とする再生可能資源からの工業用原料の合成法等について御紹介いただきます。多くの方が参加され、活発に意見交換されることを期待しております。
日時：2023年11月6日（月）13:00-15:10
方法：webを使用したオンライン（Zoom）
プログラム：
13:00-13:10 挨拶：ナノ構造ポリマー研究協会代表理事 加納義久
13:10-14:10 座長 臼杵有光 ナノ構造ポリマー研究協会副代表理事
講師：金子達雄氏（江南大学化学与材料工程学院 教授）
演題: 「高分子の超耐熱化に資するアンチ共鳴安定化」
要旨：ポリベンズイミダゾールなど芳香環と芳香族性へテロ環のみからなる骨格を持つ高分子は高耐熱樹脂として理想構造を持つとされてきた。一方、過度に安定化されたこの構造を適度に壊すことは分子鎖間力を高めさらなる高耐熱化につながることを見出し、これをアンチ共鳴安定化と呼び研究を進めてきた。本講演では本概念を紹介するとともに、有機フィルムの耐熱性の限界について議論したい。
講師略歴：
1995年 東京工業大学大学院博士後期課程理工学研究科高分子工学専攻入学
1997年 同大学院同専攻中途退学
1997年 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻 助手
1998年 工学博士（東京工業大学）取得
2001年 鹿児島大学工学部応用化学工学科 助手
2004年 大阪大学大学院工学研究科分子化学専攻 助手
2006年 北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科 助教授
2015年 北陸先端科学技術大学院大学「高性能天然由来マテリアル」ｴｸｾﾚﾝﾄｺｱ研究拠点長
2016年 北陸先端科学技術大学院大学マテリアルサイエンス研究科 教授
2023年 江南大学化学与材料工程学院 教授
文部科学大臣表彰 「若手科学者賞」、日本ものづくり大賞 「九州経済産業局長賞」、和歌山市文化表彰「文化功労賞」等多数受賞
14:10-15:10 座長 青木憲治 ナノ構造ポリマー研究協会理事
講師：髙橋史員氏（花王株式会社 生物科学研究所）
演題: 「花王におけるバイオリファイナリー技術開発と没食子酸生産検討」
要旨：植物残渣などの再生可能資源から高機能材料を得る手段として、弊社ではバイオマスを分解する糖化酵素、および糖からの芳香族生産技術の開発を行っている。ポリフェノールの1種である没食子酸は植物抽出物として工業的に製造されているが、我々はコリネ型細菌に新規な没食子酸の人工合成経路を組み込み、生産性向上に成功した。本法は、これまで希少植物からの抽出に依存していた没食子酸の新製法となる。本講演では、本新製法について御紹介する。
講師略歴：
2003年 京都大学大学院工学研究科合成生物化学専攻 修士課程修了
2003年 花王株式会社に入社 生物科学研究所に所属（現職）
2018年 広島大学大学院理学研究科数理分子生命理学専攻 博士課程後期修了
博士（理学）取得
専門分野：代謝工学、バイオ変換工学、タンパク質工学
講師：野中鏡士朗氏（花王株式会社 生物科学研究所）
演題: 「人工酵素による位置選択的酸化反応を利用した樹脂原料の発酵生産」
要旨：糖類などを出発物質として微生物細胞内で酵素反応を組み合わせて目的物質を作り出す発酵生産法は、常温・常圧・水系で選択的に反応が進行することから、環境負荷の軽減が可能な化学品の製造方法と考えられている。本講演では、天然の酸素添加酵素の基質特異性を改変することで新たな酵素反応の組み合わせを創出し、樹脂原料として期待される芳香族カルボン酸類の発酵生産を行った例を紹介する。
講師略歴：
2014年 九州大学大学院工学府物質創造工学専攻 博士課程修了 博士（工学）取得
2014年 米国サウスカロライナ大学 訪問研究員
2015年 花王株式会社に入社 生物科学研究所に所属(現職)
専門分野：タンパク質工学、生体触媒、代謝工学、生物情報工学
【参加要領】 講習会費：ナノ構造ポリマー研究協会会員 無料 非会員 5,000円
申込方法：ここよりお申し込みください
または、氏名、会社、部署、電話、メールアドレス、住所等とさらに請求書が必要な場合はその旨を記載し下記へメールでご連絡下さい。
特定非営利活動法人ナノ構造ポリマー研究協会
企画責任者 理事
青木憲治 aoki@ransp.jp
