【中国EV市場は戦国時代に】
トヨタ自動車が提携相手にファーウェイではなくテンセントを選んだ本当の理由
日本の自動車業界では電気自動車(EV)市場の勢力図を変えるような「大型提携」の発表が相次いでいる。その流れに乗って、ついに巨艦・トヨタも動きだした。今や世界最大の自動車ショーとも言われる「北京国際自動車ショー」で4月25日、驚きの発表がなされた。 トヨタ自動車は中国のインターネット大手でソーシャルネットワークサービス「ウィーチャット」を提供している巨大企業・テンセントと提携するという。 同社が持つ人工知能(AI)とトヨタの技術を組み合わせてクルマの知能化を推進させる計画だ。日産自動車も同ショーで、中国の検索エンジン最大手・バイドゥとの提携を発表している。 かねて日本の自動車企業と中国企業の提携は業界内では噂されていた。日本側にとって組むメリットは大きく2つある。 1つは日本企業が後れを取るAI分野で先行している点。2つ目は中国でビジネスをする以上は“郷に入っては郷に従え”で現地企業との提携は必要不可欠なことにある。 トヨタの昨年の中国市場での販売実績は中国勢に押され、2年連続で減少していた。 現在、中国でクルマの知能化に関して先進的な技術を持つのは通信機器大手・ファーウェイだと言われる。ある中国自動車産業の関係者は、「中国内では『実はトヨタはテンセントではなく、ファーウェイと組みたかったのではないか』との情報も流れていた」と明かす。
中国政府、新車買い替えに補助金 NEVは22万円
ガソリン車も15万円補助 12月末まで
中国の商務部など7省庁は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など「新エネルギー車(NEV)」への買い替えを促す「自動車下取り補助金」を実施する。期間は今年12月末までで、旧型の乗用車からNEVに乗り換えた場合、1万元(約22万円)を支給する。排気量2㍑以下のガソリン車にも7千元(約15万円)を補助する。ガソリン車は2011年6月末まで、ディーゼル車は13年6月末までに登録された車両を対象にする。補助金は中国政府と地方自治体がおおよそ6対4の割合で負担し、詳しい割合は地域ごとに定める。政府は地域別の旧型車の保有状況に基づき自治体に補助金の70%を事前配分し、制度開始を支援する。 中国政府は昨年、NEVへの車両取得税の減免期間を27年末まで延長すると発表した。購入補助金と併せ、新車需要の刺激策を続ける。
EV新モデル続々と 中国メーカーに勢い―北京モーターショー
北京国際モーターショーが25日、開幕した。中国では電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった「新エネルギー車(NEV)」の市場シェアが年々拡大しており、この分野で先行する中国メーカーの存在感が目立った。「(累計で)700万台のNEVを市場に投入した世界初の企業だ」。中国EV最大手・比亜迪(BYD)の幹部は同日の新車発表会でこう強調した。同社の2023年の世界販売台数は約302万台と前年比で61.9%増加し、既にNEVの販売台数では世界首位だ。今回はPHVを中心に複数モデルを公開した。 中国家電大手の小米科技(シャオミ)は今年3月に発売した同社初のEVを展示。発表会には雷軍・最高経営責任者(CEO)が登場し、EV事業の強化に向け意気込みを語った。 日本勢では、トヨタ自動車がスポーツ用多目的車(SUV)タイプのEVを含む複数モデルを初公開。同社は中国インターネットサービス大手の騰訊(テンセント)と人工知能(AI)分野などでの提携を発表した。ホンダは前週に発表したSUVタイプのEVなどを展示。日産自動車やマツダも複数モデルを公開した。
中国 EV,3割値下げも 価格競争が激化
中国で国内外の自動車メーカーが激しい価格競争を繰り広げている。 開催中の北京国際モーターショーでも、自社製品の手頃さをこぞってアピール。中国メディアによると、値引きの対象は主に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった新エネルギー車(NEV)で、今年に入り3割下がった車種もある。「当面、特別価格で販売する」。ホンダはショーに合わせて発売するEVについてこう説明した。同社によると、発売直後から値下げに踏み切るのは異例。業界関係者は「シェアを維持するための苦渋の選択だろう」と分析する。 中国では、EV最大手の比亜迪(BYD)が2月に主力車種を値下げしたことをきっかけに価格競争が激化。3月末には家電大手の小米科技(シャオミ)がコストパフォーマンスの高さをうたった同社初のEVを発売し、理想汽車や米テスラも値下げで対抗した。 BYDは今回のショーで公表した新型PHVを12万元(約260万円)で販売すると発表。ブースにいたインフルエンサーの女性は「価格は重要な要素だ」と断言した。 中国メディアによると、中国では100を超える企業がNEV事業に参入。国家発展改革委員会は各社の供給台数が需要を上回っているとして、値下げがさらに進むとの見方を示した。先の業界関係者は、一部のメーカーを除き利益が出ていないと指摘。「多くの企業は将来、市場からの撤退を強いられるだろう」と予想した。
中国、自動車ローン規制を緩和 2018年以来初
中国人民銀行(中央銀行)は3日、自動車ローンの規制を緩和した。車の下取りを促進するほか、自家用に新車を購入する消費者向けの自動車ローンについて、政府が定める最低頭金比率を撤廃する。消費信頼感を高める狙いがある。人民銀行と国家金融監督管理総局の共同声明によると、今後は、ガソリン車と新エネルギー車(NEV)の個人向け自動車ローンの最低頭金比率を金融機関が独自に決定できる。従来の規定では、NEVの頭金は最低15%、内燃機関車は20%だった。また金融機関に対し、古い車を下取りに出して新車を購入する際のローン繰上返済に対する罰則を緩和・廃止するよう求めた。
中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と米GM、車載電池の合弁工場建設で交渉へ
LFP(リン酸鉄リチウム)電池製造の合弁会社を北米に建設するための交渉に入ったと複数の中国メディアが伝えている。CATLは既に米フォードとも北米でLFP電池の合弁工場を建設中で、実現すれば米2大自動車メーカーとの合弁体制を整えることになる。LFP電池はコバルトなどレアメタル(希少金属)を使用しない、発火の危険が少ない低価格電池として注目されている。世界市場ではCATLやBYD(比亜迪)などの中国勢や韓国SKオンなどが事業を展開する。CATLの新工場建設は米国かメキシコが有力視されている。報道では、CATLはGMとの間でLRS(ライセンス・ロイヤリティ使用料サービス)契約に基づき、LFP電池技術をライセンス供与することで交渉中という。工場建設は共同という形態を取る。CATLが製造ライン建設、サプライチェーンの構築、各種製造装置の導入に責任を持ち、工場建設 の設備投資はGMが負担する。CATLとGMとの交渉内容はフォードと交わした内容とほぼ同じ。フォードは35億ドルを投資してミシガン州にLFP電池工場を建設し、2026年に稼働開始の予定。
独VW、中国の新興EVメーカーとの提携関係を強化
小鵬汽車と新型車を共同開発、部品の共同購買も
VWと小鵬汽車は2月28日、プラットフォーム(車台)やソフトウェアの共同開発契約に 調印。それに加えて、コスト低減に向けた部材の共同購買契約にもサインした。共同開発する新型車は、小鵬汽車のSUV「G9」のプラットフォームを利用してコスト低減や開発期間の30%以上の短縮につなげる。提携の始まりは2023年7月26日、小鵬汽車が実施する第三者割当増資をVWが7億ドル(約1054億円)で引き受ける計画に合意したことだった。小鵬汽車は同年12月6日に増資の完了を発表し、VWは小鵬汽車の発行済株式の4.99%を保有する第3位株主となった。
ホンダ、中国市場へ投入する新型EV「「烨シリーズ」世界初公開
第一弾は2024年末発売予定
本田技研工業の中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司4月16日現地時間)、新たに中国市場へ投入する新型EV(電気自動車)モデルとして「烨(yè:イエ)シリーズ」を発表。また、烨シリーズの第1弾となる「烨P7(イエ ピーセブン)・烨S7(イエ エスセブン)」と、第2弾のコンセプトモデルとなる「烨GT CONCEPT(イエ ジーティーコンセプト)」を世界初公開した。今回公開された3モデルは、4月下旬に中国・北京で開催予定の2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)での一般公開を予定している。 ホンダは「2050年にホンダが関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現」というグローバルでの目標を掲げており、その実現に向け、中国においては2022年に発売した「e:NP1」「e:NS1」を皮切りに、2027年までに10機種のホンダブランドEVの投入を予定するとともに、2035年までにEVの販売比率100%の達成を目指している。
テスラ、中国と米国でEV値下げ。販売低迷で在庫膨らむ
4月21日、中国では「モデル3」改良版の最低価格を1万4000元(1930ドル)引き下げ、23万1900元 (3万2000ドル)に。「モデルY」の最低価格を26万3900元から24万9900元に、「モデル S」の通常版を68万4900元に、「モデルSプレイド」を81万4900元にそれぞれ値下げた。19日にモデルY、モデルX、モデルSの米国価格を2000ドル引き下げていた。米国でのモデルYの最も安い車種は4万2990ドル(約665万円)となる。20日には運転支援機能「フルセルフドライビング」の米国価格を1万2000ドルから8000ドルに引き下げた。
奇瑞汽車、スペインにEV工場建設 中国自動車メーカー初の欧州生産へ
中国自動車大手の奇瑞汽車(Chery Automobile)は4月19日、スペインで電気自動車(EV)を生産する計画を発表した。生産拠点は、2021年に閉鎖した日産自動車のバルセロナ工場跡地にあり、年内にも電動SUV「欧萌達(Omoda)5」などの生産を開始する。年間生産台数は27年までに5万台へ、29年には15万台に増やす計画だという。新たな生産拠点は、スペインのEVメーカー「Ebro-EV Motors」との合弁事業として運営する。中国EV最大手の比亜迪(BYD)は今年2月、ハンガリーに同社初の欧州工場を建設すると発表したが、操業開始までに最大であと3年かかるため、奇瑞汽車が欧州で生産を開始する初の中国自動車メーカーとなる。 欧州自動車工業会(ACEA)によると、スペインは23年に187万台の自動車を生産し、396万台のドイツに次いで欧州2位の自動車生産国となっている。専門家の見解では、中国自動車メーカーは欧州域内に工場を設立することで輸入関税を回避し、より効果的に欧州市場に溶け込めるようになるという。 中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、23年の中国の自動車輸出台数は過去最多の491万台となり、日本を抜いて世界1位になった。企業別の輸出台数では、上海汽車(SAIC)が109万9000台で1位、奇瑞汽車が92万5000台で2位、吉利汽車(Geely Automobile)が40万8000台で3位だった。
中国の新エネ車のいわゆる「生産能力過剰」は果たして真実か
電気自動車(EV)を始めとする新エネルギー車(NEV)の領域で中国メーカーの「生産能力過剰」が世界の市場に悪影響をおよぼしているとの見方や外圧がある。 この問題について、中国マクロ経済研究院(Academy of Macroeconomic Research)主要研究部門の劉雪燕(Liu Xueyan)ディレクターが国営紙中国日報(China Daily)の取材に応じ「NEVにおける中国の優位性は、政府の補助金よりも、むしろ市場行動、特に十分な市場競争によってもたらされている。いわゆる過剰生産能力とは、需要の規模よりも生産能力が多すぎる状況を意味するが、新エネルギー車のような新興分野については需要そのものがまだ不確実で、需要がどこでピークを迎えるのか予測は難しい。現在の需要規模と生産能力から能力過剰かどうかを直接判断することはできない」と説明した。
中国、自動車業界の利益率低下、競争激しく
中国の自動車メーカーの稼ぐ力が弱っている。中国自動車業界団体の全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、自動車業界の2024年1~3月の売上高利益率は4.6%となり、直近5年の最低水準を記録した。市場の競争が激化する中、値下げなどによる販促や開発費用の拡大などが利益率の重しとなった。利益は輸出事業と高級車事業に頼る構図で、ほとんどのメーカーは利益を大幅に減らしているという。 月別の利益率は1~2月が4.3%、3月は5.2%だった。2月の春節(旧正月)連休前後の値下げ販促が1~2月の利益率を下げた。 中国自動車業界の利益率は年々低下しており、20年の6.2%から23年には5.0%へと下落。販売1台当たりの利益は17~22年に2万元(約43万円)を維持していたが、23年以降は単月ベースでおおむね1万元台に低下。単価の下落とコストの高まりを反映した形で、今年は1万5,000~1万6,000元で推移している。
米テスラ、中国で自動運転 乗り入れ制限も解除
米電気自動車(EV)大手テスラが中国で自動運転を行うための条件を整えたと報じた。 中国IT大手の百度(バイドゥ)と関連分野の連携で合意したという。テスラ車による政府機関や空港への乗り入れ制限も解除される見通しだ。 報道によれば、外資企業が中国で自動運転技術を使って車を走らせるためには、当局の許可を持つ中国企業との連携が不可欠。テスラはバイドゥと地図データの利用などで協業する見通し。 テスラのマスク最高経営責任者(CEO)は28日、事前発表なしに中国を訪問し、李強首相と会談した。中国外務省によると、李氏はマスク氏に対し、「外資企業にとってより良いビジネス環境を提供する」と語った。
中国EV,日本車牙城浸食。奇瑞汽車、BYDなどに続きタイにEV工場設置
タイ投資委員会(BOI)のナリット・テートサティーラサック長官は4月22日、中国自動車大手・奇瑞汽車(Chery Automobile)がタイ中部のラヨーン県に電気自動車(EV)工場を建設することを承認したと発表した。 これまでにも、比亜迪(BYD)や長城汽車(Great Wall Motor)、吉利汽車(Geely Automobile)のほか、EVブランドを展開する合衆新能源汽車(Hozon Auto)などの中国メーカーが、タイでのEV生産に投資している。 奇瑞汽車のタイ工場は2025年の操業開始を予定しており、まずは年間約5万台の純電動車(BEV)とハイブリッド車(HEV)を生産し、28年には年産能力を8万台に拡大する計画だという。同工場で生産された自動車は、タイ国内で販売されるほか、東南アジア諸国やオーストラリア、中東などに輸出される。 タイの自動車産業はこれまでトヨタやホンダといった日本車勢が主導してきたが、ここ数年のEVの台頭に伴い、中国のEVメーカーが存在感を増しつつある。23年には中国勢の市場シェアが前年比約6ポイント増の11%に達した。タイ政府はEVの普及を奨励しており、30年までに国内で生産される自動車250万台のうち3分の1をEVとする目標を掲げている。
米テスラ、中国進出10周年で販売台数170万台突破 猛追する中国勢で圧力
米電気自動車(EV)大手テスラは4月22日、中国進出10周年を迎え、中国のテスラ車オーナーが170万人を突破し、世界のテスラ車オーナーが600万人を超えたと発表した。 中国最初のオーナーは2014年4月22日、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)から高級セダン「Model S」の鍵を直接受け取った。当時15人しかいなかった中国のテスラ車オーナーは現在、170万人以上に増加した。テスラの急成長は、中国の優れたサプライチェーンとスマート製造によるスピード生産に大きく支えられてきた。19年に操業を開始した上海ギガファクトリーは、平均で30秒余りに1台の生産を実現している。上海ギガファクトリーはテスラの主な輸出拠点となっており、23年の出荷台数は94万7000台と同社の生産台数の半分以上を占めた。 この10年間で、中国では新エネ車が急速に普及した。中国公安部によると、23年末時点で中国が保有する新エネ車は2041万台、うち純電気自動車(BEV)は1552万台となった。BEVでは中国メーカーが勢力を伸ばしており、テスラは伸び悩みに陥っている。 テスラは4月、世界の従業員を1割以上削減する計画を明らかにしたのに続き、中国など複数の国で全車種の値下げに踏み切った。
《自動車関連情報》
EVの充電設備、昨年度3割増の4万口超…
政府の目標引き上げと補助金増で急拡大
電気自動車(EV)向けの充電設備が3月末で全国に計4万323口となり、昨年度の1年間で 約3割増加したことがわかった。2016年度から3万口前後とほぼ横ばいで推移してきた が、政府による目標引き上げと補助金の増額で急拡大した。マンションでの導入が広がっており、EV普及の後押しとなりそうだ。最近では1基で複数のEVを同時に充電できるタイプが登場しており、数え方が「基」から「口」に見直された。3月末時点で急速充電器は前年比約1100増の1万128口、普通充電器は約7000増の3万195口となった。 設置場所別では、集合住宅に約5000口、商業施設に約3000口、ディーラーに約600口 が導入された。充電設備は2010年代前半から全国で設置が広がったが、2016年度に約2万8000口に増えて以降、伸び悩んでいた。8年程度の耐用年数を超え、古くなった設備の撤去が増えたためだ。経産省は昨年、2030年までの設置目標を従来の2倍となる30万口に引き上げた。EVの補助金制度も見直し、充電設備の導入を進めるなどした自動車メーカーを優遇する内容に改めた。2023年度予算は前年度実績の約3倍となる175億円を確保した。2024年度も老朽化した設備の交換への補助額を増やすなど、予算を360億円に倍増させて拡大を促す。また国土交通省と連携し、不動産会社に新築集合住宅への積極的な 設備の導入を要請している。
川柳
◎真夜中に、何を想定、死の飛行
◎たまにはね、記憶の中を、旅をする
◎ここはどこ、外人だらけ、国内か
◎しんどいな、仕事モードへ、休み(GW)明け
宮本政義
Mail:masamiyamoto1@gmail.com
Mail:masa.miyamoto@163.com
Mobile: 070-6462-1880(携帯)