《 中国自動車情報 》
新エネ車への買い替えに補助金約22万円、中国政府が約2400億円を拠出
中国財政部は6月3日、2024年自動車買い替え促進策「以旧換新」に充てる補助金などの予算額を発表した。24年の予算額は112億元(約2400億円)で、中央政府が64億4000万元(約1400億円)を地方政府に交付し、各地の地方政府からも計47億6000万元(約1000億円)を拠出する。これに先立つ4月26日、商務部や財政部など7部門は共同で「自動車買い替え補助金実施細則」を発表した。旧型車から電気自動車(EV)など新エネルギー車への買い替えでは1万元(約22万円)、ガソリン車では7000元(約15万円)の補助金が支給される。中国の全国乗用車市場情報連合会(CPCA)によると、中国製新エネ車の世界シェアは4月に67%まで上昇した。新エネ車メーカーの多くは、5月の販売台数(速報値)を前月比で大幅に伸ばしている。買い替え促進策が打ち出されたことで、中国の新エネ車販売は再びピークを迎えるとみられる。
中国・吉利傘下の高級EV「ロータス・テクノロジー」、24年1~3月は
2194台納車売上高は約270億円
超高級電気自動車(EV)メーカー「ロータス・テクノロジー(Lotus Technology)」がこのほど、2024年1~3月期の決算を発表した。売上高は前年同期比811%増の1億7300万ドル(約270億円)、純損益は2億5800万ドル(約410億円)の赤字だった。売上総利益率はやや上昇し、18%となった。同社は、17年に中国自動車大手の吉利控股集団(Geely Holding Group)」が買収した英スポーツカーメーカー「ロータス・カーズ(Lotus Cars)」のEV子会社で、24年2月23日に米ナスダック上場を果たした。24年1~3月期の納車台数は2194台、うち中国以外での納車台数が75%以上を占めた。現在は、「Emeya(エメヤ)」「Eletre(エレトレ)」「Evija(エヴァイヤ)」「Emira(エミーラ)」の4モデルが納車可能となっている。ロータス・テクノロジーはこのほど、中国のEVメーカー「蔚来汽車(NIO)」と充電・バッテリー交換に関する戦略的パートナーシップを締結した。ロータスのEVは、中国全土にあるNIOの充電ステーション2000カ所以上を利用できるようになった。
中国政府、全固体電池の研究開発に約1300億円投入か
CATLやBYDなどが支援対象に
中国政府は全固体電池の研究開発に60億元(約1200億円)を投じる方針で、 車載電池大手の寧徳時代(CATL)、電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)、国有自動車大手の第一汽車(FAW)と上海汽車(SAIC)、リチウムイオン電池メーカーの衛藍新能源(WeLion New Energy Technology)、自動車大手の吉利汽車(Geely Auto)の計6社を基礎研究開発支援の対象とする可能性があるという。複数の中国メディアが報じた。複数の関係者によると、この業界では前例のないプロジェクトで、中国政府の関連する部(省)と委員会が主導し、条件を満たす企業による全固体電池関連技術の研究開発を奨励するものだという。同プロジェクトは、厳しい選考を経て最終的に7つのプロジェクトに分かれ、それぞれポリマーや硫化物などの技術ロードマップに焦点を当てていく。全固体電池は、エネルギー密度や安全性、コスト面などで優位性があるため、次世代の新エネルギー車(NEV)向け車載電池の主流となる可能性がある。中国のNEV産業は現在、世界をリードしており、販売台数と市場シェアが拡大し続けている。全固体電池技術の開発と産業化が進めば、中国のNEV産業はさらなる成長のチャンスを獲得するだろう。
上海汽車とアウディ、高級EV向けプラットフォームを共同開発 25年に新車発売へ
中国自動車大手の上海汽車集団(SAIC)と独高級車大手アウディは5月20日、中国市場向けの電気自動車(EV)プラットフォーム「Advanced Digitized Platform」を共同開発すると発表した。このプラットフォームをベースにBクラスとCクラスの高級コネクテッドEV3モデルを共同開発し、25年にも最初の製品の発売を予定しているという。アウディのA~CクラスのEVの製品ライン責任者Fermín Soneira氏が、共同事業の最高経営責任者(CEO)を務める。共同事業にはSAIC傘下のソフトウエア開発企業「零束科技(Z-ONE Technology)」も加わり、コネクテッド技術を提供する。
テスラ、上海工場の生産台数を大幅削減か 自動運転やAIシフトに拍車
米電気自動車(EV)大手テスラは今後、中国事業の重点を自動運転タクシー(ロボタクシー)に切り替える可能性がある。ロイター通信によると、テスラの上海ギガファクトリーでは3〜6月に人気車種「モデルY」の生産台数を少なくとも20%削減する計画だという。7月以降も減産が続くかは明らかになっていない。現在のところ、上海工場が生産する車両の大半は中国で販売されているが、中国EV市場の価格競争や国内メーカーの台頭が影響し、以前に比べて販売台数が明らかに減少している。テスラが5月23日に発表した23年のインパクトレポートからは、21年と22年のインパクトレポートに記載されていた「30年までに年間販売台数を2000万台にする」という目標が消えていた。テスラはこのところEV関連の人員削減を進める一方で、自動運転と人工知能(AI)関連で10以上のポストを新設している。事業の重点をEVから自動運転向けのAI開発にシフトし、ロボタクシーを新たな収益源とする計画だとみられる。イーロン・マスク氏は4月下旬に訪中した際、独自の高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」を搭載したロボタクシーを中国国内で試験することを提案した。
中国BYD、欧州市場に低価格EV投入へ テスラやVWからシェア奪う
中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は、2030年までに独フォルクスワーゲンや米テスラ、欧州ステランティスを抜き、欧州EV市場で販売台数トップを目指す。BYDの欧州自動車販売事業部の舒酉星(マイケル・シュー)総経理は5月9日、欧州連盟(EU)加盟国に巨額投資を準備中だと発表した。 工場建設や販売網の構築、マーケティングを含め、投資額は数十億ユーロ(数千億円超)に達する見通しだという。 同社は、人気のコンパクトEV「海鴎(シーガル)」をベースとしたモデルを欧州に投入し、2万ユーロ(約340万円)以下の低価格帯で販売する計画も進める。
BYD、第5世代PHEV発表…エンジン併用で航続2100km
BYDは5月28日、第5世代のプラグインハイブリッド(PHEV)「DM」技術を中国で発表した。同時にこのPHEVを積む「秦」ブランドの『L DM-i』と「海豹」ブランドの『06 DM-i』を初公開した。この新技術は、エンジンの熱効率46.06%、100kmあたりの電力消費2.9リットル、エンジンと合わせた航続2100kmと、いずれも世界最高水準を達成している。これにより、BYDは再び自動車業界の燃費記録を塗り替えたという。第5世代のDM技術を搭載した秦L DM-iと海豹06 DM-i」は、生産と販売が開始された。両モデルは5つのバージョンがある。これらの新型PHEVは、従来の内燃エンジン車の3分の1の燃費で、航続は3倍に達する。2023年、中国のPHEVの販売は前年比85%増加し、最も成長している市場となっている。BYDのPHEVは累計で360万台を超え、中国国内で販売されるPHEVの2台に1台がBYD。さらに、世界全体で販売されるPHEVの4台に3台が中国ブランドであり、BYDはその中心的存在になっているという。第5世代のDM技術は、速さ、省エネ、静か、スムーズ、環境配慮の5つの特徴を持つ。これを実現するために、電力を主とした動力構造、寒暖を問わない車両熱管理構造、知能電気融合の電子電気構造の3つの革新的なアーキテクチャが採用されている。これにより、エンジンの熱効率は46.06%に達し、EHS電混システムの効率は92%に達する。また、最新の車両熱管理構造は、車両のエネルギー消費を高温環境で最大10%、低温環境で最大8%削減する。知能電気融合の電子電気構造は、業界初のPHEV動力域制御を実現し、車両の集積度と性能を大幅に向上させる、と自負する。BYDの第5世代のDM技術の発表は、世界の自動車市場における電動化の進展を加速させる、としている。
上汽とアウディ、共同開発EVを25年投入へ
中国自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)は20日、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディと共同開発する電気自動車(EV)を2025年に投入すると発表した。従来方針から1年前倒しとなる。電動車用プラットフォームを共同で開発する。アウディの持つハイエンドモデルの研究開発(R&D)能力と技術力、上汽集団のスマート電動イノベーション技術をそれぞれ持ち寄る。共同開発車は、業界トップのソフト・ハードウエアを搭載し、世界トップの電動性能を持つと説明した。第一財経日報(電子版)によると、共同開発車はEV3車種。新たなプラットフォームを通じてR&Dの効率向上と開発プロセスの最適化を実現し、新車の投入ペースを従来より30%以上短縮できるという。 両社は開発、調達、生産、販売の面でも協力を図る。VWは昨年7月、アウディと上汽集団の協力関係を強化すると発表。VWのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は今年4月、アウディと上汽集団が共同開発する第1号モデルを26年に市場投入する方針を示していた。
中国ブランド車、24年の国内シェア6割超へ
中国の調査会社、北京群智営銷諮詢(シグマインテル)は14日、中国メーカーの自主ブランド車が2024年の中国新車販売市場に占めるシェアは6割を超えるとの予測を示した。10~12月期は7割に迫るとみている。一方、外資は苦境に追い込まれ、韓国系やフランス系のブランドは中国市場からの撤退を余儀なくされるとの見方だ。
シグマの報告によると、自主ブランド車の販売シェアは24年1~3月に61%となり、初めて6割を超えた。今後も右肩上がりを続け、4~6月は63%、7~9月は66%、10~12月は69%になると予測した。10~12月は21年1~3月のシェアから28ポイント拡大することになる。自動車の電動化やスマート化の分野で先行し、製品の品質を高めていることや外資に比べ価格競争力を持つことなどが自主ブランド車の販売を押し上げている大きな要因。一方、日系とドイツ系はともに年内のシェアが12~15%、米国系は7~8%で推移し、年末にかけてシェアを落とすと予測。韓国系はシェアが1%となり、フランス系は1%に届かないとみている。シグマは「中国ブランドと外国ブランドの地位が逆転している」と指摘。合弁ブランドがシェアを維持するためには、中国メーカーの電動化などの技術を採用し、新たな軌道に乗せるしかないとの見方を示した。今年は国内自動車市場の競争がより白熱し、後れを取るメーカーが出始めているとも指摘した。スマート運転やスマートコックピットなどが相次いで市場に投入される中、消費者はより高い機能と性能を求めるようになっていると説明した。たとえ製品力や安全性が十分に保障されていても、消費者に認知されなければヒットを生み出すのは難しく、自動車メーカーはブランドの宣伝や販売前・販売後のサービスの評判も重視する必要があるとの見方を示した。個人やグループの「自媒体(セルフメディア)」による情報発信が盛んになる中で、安全性に欠陥があれば大規模に拡散される可能性があることにも触れた。
中国EV「小鵬汽車」、24年1~3月は販売台数減も粗利率改善 VWへの技術提供が増収に貢献
中国の電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」が、2024年1~3月期の決算を発表した。売上高は前年同期比62.3%増の65億5000万元(約1400億円)で、市場予想を上回った。激しい市場競争の渦中にもかかわらず、粗利益率は12.9%と前年同期比で11.2ポイント、前四半期比で6.7ポイント上昇した。純損失は13億7000万元(約300億円)で、前年同期比で9億7000万元(約210億円)減少したが、前四半期比では約2000万元(約4億4000万円)の増加となった。納車台数は2万1821台で、前年同期比では19.7%増加、前四半期比では63.7%減少した。当四半期の決算報告書には、自動車販売による収入に加え、サービスおよびその他の収入として10億元(約220億円)の記載がある。これは、主に独フォルクスワーゲン(VW)の中国市場向けプラットフォームおよびソフトウエアの開発に提供した技術サービスによるものだ。VWは4月17日、小鵬とE/E(電気・電子)アーキテクチャを共同開発すると発表した。 *1元=約22円で計算しています。
《自動車関連情報》
EV開発で大注目!結局「全固体電池」は何がスゴいのか
全固体電池の特徴と開発動向
現在、環境対応車である電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の需要が世界的に大きく伸びているが、EVやHVには充電池であるバッテリーを搭載する必要がある。自動車の駆動用バッテリーはリチウムイオン電池が主流だが、次世代バッテリーとして「全固体電池」の開発が加速している。リチウムイオン電池は自動車だけでなく、スマートフォンや家電製品など幅広い製品に使われており、2000年代に入るとその普及が加速した。その特徴は、従来の電池に比べてエネルギー密度が高く、小型・軽量で利便性に優れていることだ。高いエネルギー密度はEVの駆動用バッテリーにも利用されており、航続距離を伸ばすためにはリチウムイオン電池は欠かせない。しかし、電池内部のリチウム系電解液が発熱し、発火する可能性があるという欠点がある。欠点を克服するために現在開発中の「全固体電池」は、構造的に発熱や発火が起こりにくい。従来の電池は主に電解液を使用していたが、全固体電池は液体を使用せず、電解質がすべて固体であるため安定性が高い。また、温度上昇による発火にも強いため、幅広い用途に使用でき、劣化や液漏れの問題も起こりにくい。 ただし、液体電解質に比べると伝導性が低いため出力が低いなどの問題点もあるが、研究開発によって徐々に克服されつつある。全固体電池自体はすでに実用化されており、小型家電用バッテリーにも採用されているが、大型製品の技術としてはまだ研究段階であり、車載用バッテリーとしての今後の技術開発が待たれる。
量産化への道
自動車用の全固体電池の開発で国内最大手のトヨタ自動車も実用化に取り組んでいるが、共同開発に名乗りを上げたのは石油大手の出光興産だ。トヨタと出光興産は、将来の量産車への搭載を視野に入れ、2023年10月に全固体電池を量産するための協業を発表した。トヨタはHVに力を入れているメーカーであり、電動車のバッテリーは非常に重要な要素である。同社は将来のEV量産を見据え、2006(平成18)年から全固体電池の開発に着手している。出光興産は石油元売り・石油化学のイメージが強いが、全固体電池の開発で先端技術の特許を多数保有しており、石油から製造する硫化物系固体電解質の開発に注力している。この両社の協業により、全固体電池の技術開発が急ピッチで進むことが期待され、大まかなロードマップも発表されている。トヨタと出光興産の計画では、2027~2028年頃の全固体電池の実用化を目指しており、開発は3フェーズに分けて行われる。第1フェーズは、全固体電池の心臓部である固体電解質の開発で、硫化物系固体電解質を採用するため、品質、コスト、量産技術に磨きをかける。第2フェーズでは、第1フェーズで培った技術をベースに量産設備を開発し、第3フェーズでは本格的な量産化の可能性を検討する計画だ。また、両者の技術の融合により、耐久性を低下させていた電極材料のクラック問題を克服できるめどができたという。環境保護の観点からも、EVやHVなどのEVの量産化は喫緊の課題であり、今後数年間の両社の動きは大いに期待できる。
ホンダ「EVシフトは着実に進んでいく」推進する方針は変わらず
2040年で販売比率100%の達成を目指す
EV が最も有効なソリューションであると確信
ホンダは2024年5月16日、「2024ビジネスアップデート」の説明会で、EV・FCEVの販売比率を100%とする目標に変化がないことを発表しました。2023年は世界的に販売・生産が減速化したEVですが、ホンダはEV普及期を見据えた中長期的な視野で強いEVブランド・事業基盤を構築することが必要と説明します。取締役兼代表執行役社長の三部敏宏氏は今後の二輪、四輪車両の動向について「EV が最も有効なソリューションであるとういのは変わらない」とし、「EVシフトは着実に進んでいくと確信している」と話しました。そのため、「2040年にグローバルでのEV/FCEVの販売比率を100%とする」という目標に変化はなく、2030年時点でのEVとFCVを合わせた販売比率は40%と想定し、2035年で80%、2040年で100%の達成を目指すとのことです。EVを普及させていくためには魅力的なEVの投入も不可欠であり、2026年頃には、2024年1月にアメリカで行われたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で出展したコンセプトカー「SALOON(サルーン)」に近い形のEVを投入するとのことです。また、完全EV化の実現に向けた戦略として、ホンダは2030年に、北米で調達するバッテリーコストを現行のバッテリー比で20%以上削減するほか、生産コストの35%削減を目指し競争力のある事業構造を構築し、予定している約200万台分のEV生産をまかなうバッテリーを確保する見通しを立てています。
川柳
◎真夜中に、またJアラート、寝不足だ
◎まだ出るぞ、裏金隠し、脱税も
◎久しぶり、誰だったかな、じゃ~またね
◎スマホから、地震速報、コダマする
◎改革だ、サルも驚く、ザル法だ
◎低すぎだ、G7首脳の、支持率が
宮本政義
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