中国自動車販売、新エネ車の割合が50%突破
BYDが34万台超で圧倒的首位:24年7月
中国の全国乗用車市場情報連合会(CPCA)によると、2024年7月の中国の新エネルギー車(NEV)販売台数は前年同月比36.9%増の87.8万台だった。自動車販売全体に占める割合は15ポイント増の51.1%となり、NEVの販売台数が初めてガソリン車を上回った。
メーカー別では、最大手の比亜迪(BYD)が約34万800台で圧倒的首位を維持し、米テスラの中国法人は約7万4100台で2位につけた。以下、吉利汽車(Geely Automobile)が5万9100台で3位、理想汽車(Li Auto)が5万1000台4位、長安汽車(Changan Automobile)が4万2700台で5位に入った。CPCA事務局長の崔東樹氏は、7月は中国政府の自動車買い替え促進策「以旧換新」が進み、NEVの新車購入補助金がガソリン車よりも5000元(約10万円)多く支給されるようになり、NEV販売台数の増加につながったとの見方を示した。
上海市の路線バスとタクシー、27年までにすべて新エネ車に
中国上海市はこのほど、2027年までの交通インフラ・設備更新プランを発表し、路線バスとタクシーを2027年末までに全て新エネルギー車(NEV)に切り替えると明らかにした。具体的に①路線バスとタクシーを年平均9%以上NEVに転換し、それぞれ合計で6200台と1万1千台となる②老朽化した路線バスを段階的に廃棄し、燃料電池バスを試験的導入にする④バス用バッテリーのメンテナンスを強化し、性能が20%以上低下したものの更新を奨励する-などを打ち出した。観光タクシーも原則的にすべてNEVに転換する。年平均2800台前後となる。
ファーウェイの車事業会社、長安汽車系が2400億円出資へ
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は20日、同社の自動車事業の独立に向けて設立した新会社に、国有自動車大手の重慶長安汽車系の企業が10%出資すると発表した。出資額は115億元(約2400億円)。電気自動車(EV)向けの開発などで連携を深める。ファーウェイは他の提携先企業にも資本参加を促す。ファーウェイは自動車部品の開発や生産を担う自動車事業を独立させるため、新会社の深圳引望智能技術を1月に設立した。事業はまだ開始していない。長安汽車が出資する新興企業の阿維塔科技が、この新会社に出資する。出資の時期は明らかにしていない。新会社の残りの90%の株式はファーウェイが所有する。同社の徐直軍・輪番会長は「新会社の株式は開放し、戦略パートナーと自動車の知能化に向けた発展を目指す」とコメントした。阿維塔科技はEVなど新エネルギー車のブランド「AVATR(アバター)」を展開しており、ファーウェイは自動運転関連などのシステムや部品を供給している。ファーウェイの新会社への資本参加をめぐっては、中堅自動車メーカーの賽力斯集団(セレス・グループ)も7月下旬、出資に向けた交渉を始めたと発表した。ファーウェイはセレスと新エネ車ブランド「AITO(アイト)」を展開している。
ファーウェイの自動車事業の2023年12月期の売上高は前の期比2.3倍の47億元だった。新会社では自動車会社と資本関係にまで踏み込むことで、「自動車業界に部品やサービスを提供する開かれたプラットフォームになることを目指す」(ファーウェイ)としている。
BYD、日本上陸から累計2500台以上の販売達成。EVセダン「SEAL」、発売1カ月で累計300台超の受注
中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は6月25日に、日本向けの乗用車第3弾となる中型セダン「SEAL(シール)」を発売した。それから約1カ月で累計受注台数が300台を超えたという。なお、7月の総受注台数は、コンパクトEV「 DOLPHIN(ドルフィン)」、e-SUV「ATTO3(アットスリー)とSEALの3モデルで計400台を超え、過去最高となった。BYD Auto Japanによると、SEALへの注目度は高く、女優の長澤まさみさんを起用したテレビCMの効果もあり、7月の来店客数は前月比で86%増加したという。また、SEALを購入する際に国のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)が適用される。SEALは2グレードで展開され、後輪駆動のBYD SEALと四輪駆動のBYD SEAL AWDで、それぞれ45万円と35万円のCEV補助金が決まった。さらに、全国の自治体でも同様の補助金が適用される場合があるため、国と自治体の補助金を合算した補助を得られる。BYDは23年1月から24年6月中旬まで、日本で累計約2500台を販売してきたという。これまでに日本で乗用車を販売したことのない海外ブランド、ましてや中国ブランドであることを鑑みるとなかなかの上出来ではなかろうか。
中国自動運転EV「PIX Moving」と日本TIS、東京に合弁会社を設立
中国貴州省に本拠を置く自動運転電気自動車(EV)のスタートアップ、貴州翰凱斯智能技術(PIX Moving)はこのほど、日本のIT(情報技術)大手、TISと東京に合弁会社を設立したと発表した。新会社はロボット製造工場を神奈川県に設け、自動運転の小型バス「Robo-Bus」や無人販売車「Robo-Shop」などを量産し、日本国内で販売する。PIX Movingにとって海外で初めてのロボット製造工場になる。同社は2017年の創業で、貴陽国家ハイテク産業開発区に本社を置く。主に自動運転ソフト・ハードウエアの技術ソリューションを提供し、スケートボード型EVシャシーや自動運転開発用キットなどの販売先は27カ国に上る。主力製品のRobo-Busは運転席やハンドル、バックミラーなどがなく、車体に前後の区別がないため双方向に進行できる。TISはシステムインテグレーター(SIer)大手で、22年にPIX MovingのシリーズA1に単独で出資している。
中国新興EV販売、競争激化 理想汽車とファーウェイ「AITO」が一二を争う:24年7月
中国の主な新興電気自動車(EV)メーカーが、2024年7月の新車販売(納車)台数を発表した。EV業界の競争が激化するなか、理想汽車(Li Auto)が5万台の大台を突破するなど、新興各社は軒並み前年同月比で販売台数を伸ばした。
1位:理想汽車
理想汽車(Li Auto)の7月の販売台数は、前年同月比49.4%増、前月比6.8%増の5万1000台だった。過去最高を更新。同社は最大手の比亜迪(BYD)には遠く及ばないものの、業界二番手の地位を盤石にしている。
2位:AITO
自動車中堅の賽力斯集団(SERES)と華為技術(ファーウェイ)が共同運営するEVブランド「問界(AITO)」の7月の販売台数は、前年同月比508.3%増、前月比4.4%減の4万1535台だった。
3位:零跑汽車
零跑汽車(Leap Motor)の7月の販売台数は、前年同月比54.1%増、前月比9.8%増の2万2093台だった。一時は月間販売1万台程度で足踏みしていたが、前月に続き2万台超えを果たし、かつてのライバル哪吒汽車(NETA)を大きく引き離した。
4位: NIO
蔚来汽車(NIO)の7月の販売台数は、前年同月比0.2%増、前月比3.4%減の2万498台だった。零跑汽車にやや及ばず順位を一つ下げたものの、3カ月連続の2万台超えを達成した。
5位: ZEEKR
吉利汽車(Geely Automobile)傘下の高級EVブランド「極氪(ZEEKR)」の7月の販売台数は、前年同月比30.0%増、前月比22.1%減の1万5665台だった。7月は2万台を大きく割り込んだが、近く生産ラインを最適化し、9月以降の販売増を狙う方針だという。
6〜8位
小鵬汽車(XPeng Motors)の7月の販売台数は、前年同月比1.0%増、前月比4.0%増の1万1145台。哪吒汽車(NETA)は前年同月比9.72%増、前月比7.9%増の1万1015台だった。いずれも1万台を少し超える程度と上位陣に大きく水を開けられている。
スマートフォンメーカーによる初のEV「SU7」で注目を集める小米汽車(Xiaomi Auto)は、詳細なデータを発表していないが、7月も1万台以上を出荷したとみられる。
ちなみに、業界最大手の比亜迪(BYD)の7月の販売台数は、前年同月比30.5%増、前月比0.3%減の34万779台だった。中国のEV市場はすでに飽和状態に近づき、価格競争が繰り広げられている。BYDと業界2位の理想汽車などは揺るぎない地位を確立しているが、その他のEVメーカーも生き残りをかけて動いている。24年下半期の市場シェア争奪戦は、さらに苛烈になるとみられる。
世界の車載電池搭載量 中国CATLが首位独走、日韓勢縮小:24年1~6月
韓国の調査会社SNEリサーチはこのほど、2024年1〜6月の世界の車載電池搭載量が前年同期比22.3%増の364.6ギガワット時(GWh)だったと発表した。搭載量上位10社のうち6社を中国勢が占めた。韓国からは3社、日本からは1社が入った。
1位は中国の寧徳時代(CATL)で前年同期比29.5%増の137.7GWh、シェアは37.8%となった。2位は中国の比亜迪(BYD)で22%増の57.5GWh、シェアは15.8%。3位は韓国のLGエナジーソリューションで5.7%増の46.9GWh、シェアは12.9%だった。
このほか、中国からは5位に中創新航科技(CALB)、8位に億緯鋰能(EVEエナジー)、9位に国軒高科(ゴーション・ハイテク)、10位に欣旺達電子(サンオーダ)が入っている。韓国のSKオンは4位、サムスンSDIは6位、日本のパナソニックは7位だった。日本の車載電池メーカーは当期もシェアを落とした。韓国メーカーは搭載量を伸ばしたものの、伸び率で中国メーカーに遅れをとり、シェアが縮小した。一方、中国メーカーは引き続きシェアを拡大させた。
《自動車関連情報》
メルセデス・マイバッハ初のフル電動SUVモデル「EQS 680 SUV」が日本上陸
メルセデスベンツ日本は2024年8月1日、メルセデス・マイバッハ初のラグジュアリーSUV電気自動車「メルセデス・マイバッハEQS680SUV」を日本で発売した。車両価格は2790万円に設定する。新設定のメルセデス・マイバッハEQS 680 SUVは、既存のメルセデス・ベンツEQS SUVをベースに、贅を尽くした専用の内外装アレンジやファーストクラスパッケージの設定、専用セッティングの走行モード「MAYBACH」の採用などを実施して、洗練されたラグジュアリーを体現する至高のメルセデス・マイバッハならではのフル電動SUVモデルに仕立てたことが特徴である。
川 柳
◎孫来る、特別出費、お盆玉
◎赤ベンツ、たどり着くのは、ただの人
◎ギブアップ、見習いますよ、バイデンよ
◎やっぱりね、ズレにずれてる、自画自賛
貴重な中国自動車情報をありがとうございます。中国で新エネルギー車が新車販売の50%とは凄いですね。
ところで、8月25日に中国の福州でCJセミナーがあり、日本側は中嶋先生、中国側は、賓先生(大連理工大学)中心で行われました。
私は、免震ゴム関連の講演をオンラインで行いましたが、
中国側の発表には、バッテリーの隔膜関連、マイクロプラスチック、リサイクル、生分解性ポリマーなどがあり、結構面白かったです。
特にオレフィン系ではない高性能リチウムイオンバッテリー用隔膜など時宜にかなう研究が目立ちました。勿論、日本側も頑張っていました。
最近、韓国で電気自動車のバッテリー絡みの事故が増え、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が再評価されているようですが、今後どうなってゆくのか注目しています。
西 敏夫