20250608. 48.会社でのOJT

OJTとはOn-the-Job Trainingの略で現場において実務を通じてメンバーを育てるやり方、一方OFF-JTとはOff-the-Job Trainingの略で、通常業務から離れて行う研修などを指すもので外部セミナーへの参加や社内での集合研修などがこれにあたる。
自分の会社員時代を振り返ってみると入社以来、すばらしい先輩や同僚、後輩に恵まれてOJTとOFF-JTをうまく組み合わせて育成してもらったと感じる。新入社員(1980年入社)の頃は器具や薬品の購入方法、出張の仕方、業務報告者の作成方法など初めてのことは懇切丁寧に指導いただいた。初めての出張で上司からの出張の承認を得ないままに出張し帰社後に旅費の決済をしようとしたところ、聞いてないという事で承認が得られなかったことがあった。そのような失敗をした際に中間管理職の係長(グループリーダー)、課長(研究室長)クラスが一緒に部長のところに謝罪に行って事無きを得たことがあった。その時の部長の言葉は今でも忘れない。「君は部長の責任でもって出張させているのだ。何かあれば私の責任だ。だから事前に承認を得るように。」当時は不思議であったが会社組織の報告ラインについて身をもってOJTされたわけである。それ以来、書類決済を受ける前には出張することは無くなった。個人では社内決済の書類で装置購入の稟議を受ける際に印鑑の押し方がダメだという事で書類が決裁されなかった事例があった。押印を忘れたわけではなく印鑑の印影である周辺の枠が欠けていたためにこれは認められないといういう話であった。これも書類をすべて作成し直してしっかりと押印して部長のところに私が直接行き決済が下りたことがあった。これ以降、押印には人一倍気を使うようになった。これは作成した書類に責任を持つことと言う指導になっているわけである。多くの指導例があったが会議の開始時間に関してはいつも5分前には集合して準備することが求められた。ある時に5分遅れて会議室に入室した際に「5分前には入室し、会議の内容について考えていること!」と怒られたことがあった。またある時は上司が5分程度遅れたので何を言われるかと思ったら「定刻を過ぎているのになぜ始めていないのか!」と怒られた。それからは5分前には入室し、定刻になったら会議を始めることが私の中では定着した。
最近のニュースではOJT偏重の企業は若者の定着率が低いなどと言われているが私にとってOJTはとても重要な位置づけであった。私なりにOJTのポイントを挙げると下記のようなものになる。
・日頃から仕事に対する姿勢を教えること。単発では若者は話を聞いてくれない。特に研究においては挑戦すること、失敗しても大丈夫なことを教える。
・上司と部下は管理対象ではなく切磋琢磨する間柄でありたい。特に若手の提案に関しては同じ目線で議論する。
・するべきこと、してはならないことを具体例で示す。批判だけではダメで実行することが重要である。
・部下を持ったら話をしっかりと面着で聞く。一日一回は話す。
・自分の経験したことを具体的に話す。部下は上司の背中を見て仕事をしていることを認識する。 など
OFF-JTでは色々な研修会に参加した。特許の書き方、知財の重要性、論文の書き方、人事考課のあり方、心のケアについて、謝罪会見の仕方(寄稿文29-2仕事の評価2)など。ほとんどが社内で半日程度をかけて社外講師の先生をお招きして実施していた。これを勤務時間内に実施する(つまり業務として実施する)わけなので今から思うと有難いことであった。一方で社外でのOFF-JTも実施していた。大きなものとして“X-day”がありこれは管理職になってから年に一回、土日の休みに一泊での研修であった。役員と部長(ある時には所長も参加)が主催し、若手の管理職3-4名を読んでそれぞれ好きなことを制限時間なしで講演するというものである。私も5-6回参加したが自分のオリジナルな考えを話すことはとても大変でありかつそれを上司が聞いているというのは相当なプレッシャーであった。洋書(会社が購入してくれた)を読んで自分なりの解釈を話したり、自分の将来の研究プランを話したりした。夜は参加者皆さんでお酒を飲みながら食事をした。今から思うとかけがえのない思い出である。今でも継続していれば良いのだが・・・・。

Author: xs498889

1 thought on “20250608. 48.会社でのOJT

  1. メール拝見しています。この所以外と忙しくて日本免震構造協会の総会(明治記念館)、ゴム技術フォーラム総会(赤坂見附)、SPring-8の
    若手研究申請審査会(兵庫県)等に出張していてコメントが書けませんでした。
     OJTやOffーJTは、私もブリヂストンにいた頃は随分やっていました。ビジネスペンコース、QC絡みの各種コース(
    当時は、会社がデミング賞を受賞しようというので大騒ぎ)、ミドルマネージメントコース、泊まりがけの社内研修、などなどです。
    結構面白かったのでレベルを上げて、英検1級取得、技術士(応用理学)取得までやってしまいました。特に、技術士を取ったときは、社内でも希な資格で上司から「お主、謀反を企てているのではあるまいな!」とコメントされました。今は、どうなってるのでしょうね。
     私は、修士コース修了で就職しましたが、会社の研究で論文博士(東大)を取りました。今、考えると、あれもOJTの一部だったのかも知れません。
    但し、勤務中に論文を書くわけに行かず、帰宅後や土日に執筆するので結構きつかったのですが、何とか成りました。
    勿論社内報告書と、学会に発表する論文の中身は微妙に違うので2度手間です。更に当時は、博士論文は活字印刷されていなければならなく印刷費用は、自腹で
    当時の月給3ヶ月分ぐらい掛かり参りました。大学に移ってからは、企業研究員が博士論文を提出して論文博士号を取得するのを事情を良く知っているので、随分手助けしました。
    特に印象的だったのは、日立の研究所では、研究員が論文博士を取得して相当のポジションに着いたときは、彼の部下で優秀な研究員を選んで論文博士号を取らせるのが
    義務との事でした。今は、どうなっているのか知りませんが。
     最近は、大学に社会人博士コースが出来て事情は改良されたようです。ある大学人の裏話によると、修士修了で就職して論文博士を取られてしまうと博士課程に進学する
    院生が減ってしまうのでその対策の一つだそうです。確かに海外で論文博士の制度の話をすると羨ましがれれます。
     よく考えると欧米の企業でキーパーソンがPhDを持っている場合が多いです。研究だけで無く営業、経営、企画もそうです。日本も博士号取得者を研究だけで無くいろいろ
    な分野に活用すると良いでしょう。西研の第一博士号取得者の平井さんがAGCの社長になったような例が増えるのを期待しています。
     ベル研にいたときは、研究員を一定期間、AT&Tに派遣して現場を経験させて今後の研究に活かす研修をしていたのが面白かったです。又、研究所では、セクハラ、人種差別、嘘つきにには充分気を付けるように言われました。最も今のトランプは、パワハラ、セクハラ、人種差別、嘘つきの常習犯なのでどうなっているのか理解しかねています。
    西 敏夫

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