中国自動車情報202405

中国EVの「弱点」、大寒波で露見して販売台数が激減…
中国に「EV墓場」が次々と生まれる「深刻なワケ」

春節は本来、中国人にとって心身をリラックスさせる期間だが、今年は多くの人々が不安を抱える中での年越しとなった。中国メディアは「失業や賃金カットの嵐が吹き荒れる状況下で『とても新年を祝う気分にはなれない』との嘆きが中国全土を覆っている」と報じていた。中国経済が苦境に陥る中、唯一気を吐いているのは自動車産業だ。昨年の中国の自動車販売台数、生産台数はともに3000万台を超え、15年連続で世界第1位となった。昨年の自動車輸出台数も491万台と日本を抜いて世界一となった。自動車産業を牽引するのは、電気自動車(EV)を始めとする新エネルギー車だ。昨年の販売台数は前年比38%増の950万台と9年連続で世界1位の座を堅持している。中国経済の期待を一身に集めるEVだが、ここに来て減速感が生じている。中国自動車協会が2月8日に発表した1月の国内自動車販売台数は205万台で前月比14%も減少したが、足を引っ張ったのがEVだった。1月のEV販売台数は前月比47%減の40万台と低迷したのだ。その理由として挙げられるのは、1月に襲来した大寒波の影響だ。今年1月、中国では北部を中心に氷点下の状態が続いた。急速充電の効率が低く、走行距離が限られるEVは、厳しい気象条件の下では不向きだと判断された。一部のEVが凍結した路面に適していない設計になっていたことも、消費者の購買意欲を低下させたと言われている。業界関係者は「冬の寒さの影響が薄らぐ3月以降は販売台数が回復する」と楽観視しているが、はたしてそうだろうか。現場の販売担当者が「スマートフォンのようにEVを買い替える若い消費者が続々と来店する」と指摘しているように、中国ではZ世代がブームの中心にいる。このため、中国のEVはスマホのように頻繁にモデルチェンジを繰り返すようになっており、その結果、使い捨てられたEVの「墓場」が各地で出現している。このような状況を踏まえ、中国の専門家は「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」と危惧を抱くようになっている。中国が全固体電池の量産に向けた巨大アライアンスを結成EV業界のゲームチェンンジャーとなりうる「全固体電池」の開発競争が過熱2024年1月、中国で大きな動きがあった。バッテリー開発・生産大手の「CATL」「FinDreams Battery(BYD傘下)」、「CALB」、「Svolt Energy Technology」、「EVEEnergy」、「Gotion High-tech」など6社と、自動車メーカーの「BYD」、「Nio」が参加する全固体電池の開発とサプライチェーンの構築を目指すコンソーシアム「中国全固体電池協同創新:Chaina All-Solid-State Battery Collaborative InnovationPlatform(CASIP)」の結成が発表された。車載バッテリーの世界シェアでおよそ半数を占めるCATLとBYDを中心に世界の上位6社が参加し、さらに飛ぶ鳥を落とす勢いのBYD、そして交換式バッテリーでも知られるNioを中心に、大小さまざまな自動車メーカーも参加する。そして、この巨大プロジェクトには、中国政府や大学などの研究機関が深く関係している。早期の全固体電池の商業化、量産化を実現し、2030年にはグローバルで競争力のあるサプライチェーンを構築することが目標だ。現在、トップを走るのはトヨタ/出光興産、日産、ホンダも続くが、トヨタ/出光興産による全固体電池の量産車への投入は早くても2027年。それも初期には、ごく一部の限られた車両への搭載に留まる見込みだ。本格的に量産がはじまるのは2030年以降だという。次世代電池を巡る熾烈な技術競争はますます激しさを増すだろう。

中国、ナトリウムイオン電池のEV搭載が加速
ナトリウムイオン電池搭載EV「花仙子」

2023年12月27日、ナトリウムイオン電池メーカー「中科海<金内>(HiNa Battery)」は、 安徽江淮汽車集団(JAC)傘下のEVブランド「<金乙>為(Yiwei)」と開発したナトリウムイオン電池搭載EV「花仙子」のラインオフを発表した。航続距離は252km、ナトリウムイオン電池を搭載した世界初の量産モデルで、2024年1月から納車が始まっている。2023年12月28日には、車載電池メーカー「孚能科技(Farasis Energy)」が、EVメーカー「江鈴集団新能源汽車(JMEV)」と共同開発したナトリウムイオン電池搭載のコンパクトEVがラインオフしたと発表した。このほか2023年中は、電動バイクメーカー「雅迪(Yadea)」が3月にナトリウムイオン電池を使用した電動二輪車をリリースし、4月には車載電池最大手CATLがナトリウムイオン電池を中国自動車大手「奇瑞汽車(Chery Automobile)」のEVに搭載するなど、多くの動きがあった。ここ数年、世界的なリチウム資源の不足と価格高騰により、リチウムイオン電池に代わる選択肢としてナトリウムイオン電池が大きな注目を集めるようになった。2023年は「ナトリウムイオン電池元年」となり、中国の新興企業がたびたび資金調達に成功したほか、電池メーカーや自動車メーカーなども相次いでナトリウムイオン電池の分野に参入した。ナトリウムイオン電池は安全性や安定性の面で非常に優れている。特に高温や低温下でも高い性能を発揮し、使用温度範囲はマイナス40度から80度と広く、マイナス20度の低温環境でも定格容量の約90%を利用できる。リチウムイオン電池に比べて、発火や爆発の危険も少ない。不足するリチウム資源に比べ、ナトリウム資源は豊富に存在している。中国には世界のナトリウム埋蔵量の約22%があり、資源に不足はない。とはいえ、ナトリウムイオン電池にはエネルギー密度が低いというデメリットがある。ナトリウムはイオン半径がリチウムより大きいため、同じ質量で比べるとナトリウムイオンが運べる電荷量は少なくなり、エネルギー密度ではリチウムイオン電池にかなわない。世界で初めてラインオフした2種類のナトリウムイオン電池車は、いずれも航続距離の短い近距離移動用モデルだ。今後、市場規模がさらに拡大していけば、エネルギー密度の向上にも取り組む必要も出てくるだろう。一方、2023年後半にはリチウム価格が大幅に下落し、ナトリウムイオン電池のコスト的なメリットも薄れてきている。

中国EVメーカー・蔚来汽車(NIO)、CATLと長寿命電池の開発で提携

EV用電池大手CATL(寧徳時代新能源科技)とより提携したと発表。NIOのウィリアム・リーCEOは、電池の使用期間を8~10年以上に延ばすことが目標だと語った。また、電池の月額使用料を最大33%引き下げると発表した。同社は電池の充電と交換のためのインフラにも多額の投資を行っている。リーCEOによると、現在2382カ所の電池交換ステーションと2万1652カ所の充電ステーションを所有している。充電サービスは黒字化したが、電池交換はまだ赤字という。

中国・BYD(比亜迪汽車)、グローバル化を加速。2024年は海外販売40万台目指す

BYDは「ガソリン車よりも安い電気自動車」をキャッチフレーズに低価格戦略を打ち出し、新モデル「秦PLUS 栄耀版」の価格を引き下げた。2021年5月に「乗用車海外進出計画」を発表して以降、58の国と地域でNEVを販売し、タイとブラジルでは販売台数トップを獲得している。2023年のNEVの海外販売台数は前年比334.2%増の24万3000台で、総販売台数の8%を占めた。また、2024年1月の乗用車の輸出台数は3万6000台で、総販売台数の18%を占め、2023年通年と比べ輸出が大幅に拡大した。2024年2月の輸出台数はやや減少したものの、2万3291台となった。2024年通年では海外販売40万台を目指すという。

                  《自動車関連情報》

日産、軽乗用車のEV自社生産を検討

三菱自動車の水島製作所(岡山県倉敷市)に生産を委託している軽乗用車のうち、電気自動車(EV)を自社工場へ移す方向で検討していることが分かった。2022年6月に発売した「サクラ」は、2023年には前年比69.7%増の3万7140台を売り上げ、日本の乗用車EV販売全体の約4割を占める日本で最も売れたEVだった。今後も販売拡大が見込まれる軽乗用車EVのコスト競争力を強化し、収益力向上につなげたい考え。日産は、軽乗用車を三菱自と折半出資の合弁会社NMKVで企画・開発しており、三菱自の水島製作所で生産している。関係者の1人によると、NMKVでの協業は続けるとしている。関係者らによると、日産は2028年度以降に投入する軽乗用車のEVを子会社の日産自動車九州(福岡県苅田町)で生産することを検討中。現在、協議している。日産と三菱自の広報担当者はロイターの取材に対し、「そのような計画はない」とコメントした。

テスラ、2月の中国出荷台数は約1年ぶりに低水準―株価7%超の下落

テスラの2月の中国出荷台数は約1年ぶりの低水準に落ち込んだ。4日の米株式市場でテスラ株は一時7%を超える下落と、S&P500種株価指数構成銘柄で特に大きな下げとなっている。全国乗用車市場情報連合会(乗連会)が4日発表した暫定データによると、2月のテスラ上海工場からの出荷台数は6万365台。前月比では約16%減少し、2022年12月以来の低水準となった。前年同月比では19%減。中国では、春節(旧正月)期間中は総じて自動車販売が低迷する。また世界中の多くの市場と同様、電気自動車(EV)の成長は減速している。比亜迪(BYD)など国内勢による圧力の高まりに直面しているテスラは、中国での販売促進を目指し、さまざまなインセンティブを打ち出している。苦しんでいるのはテスラだけではない。BYDの2月の自動車販売台数は12万2311台と、前年同月比で37%減少した。

中国・BYD、日本市場に毎年1車種以上のモデルを継続的に投入していく方針

2024年の戦略発表会を3月1日に行ない、BYDジャパンの劉学亮社長とBYDオートジャパンの東福寺厚樹社長が登壇。劉社長は、まずは2024年央に発売予定のシールを皮切りに、以降、毎年1車種以上のモデルを継続的に日本に投入していく予定であることを発表した。 BYDオートジャパンの東福寺社長は2023年の販売実績を総括。参入時に掲げた目標の 2000台を達成することはできなかったが、それでも2023年1月から12月までの1年間でアット3を1198台、ドルフィンを248台、合計1446台を販売したことを発表。さらに、販売拠点も順調に整備が進められており、現時点(2024年3月2日時点)で全国51拠点を 展開、2025年末までには100店舗を目指す予定であることを強調した。

米国、BYDの「メキシコ進出推進」に超緊張。「米国車絶滅の危機…」
「中国車に開いているメキシコのバックドアを閉鎖しなければならない」

「中国の超低価格EVがホットケーキのように売れ、米国人はこれを食べてしまうだろう。結局、米国の自動車産業は代償を払うことになるだろう」。米自動車協会(AAA)が報告書で危機感を示した。中国企業の米国進出を防ぐためには、「メキシコを切らなければならない」という声まで出ている。メキシコは安い賃金と豊富な労働力を基に米国産業界の生産基地となっている。米国が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を結んでインフレ抑制法の恩恵を受けられるようにしたのもメキシコが自国の競争相手にならないだろうという判断のためだった。GMとフォードが工場を建て、ステランティスとテスラなども進出を推進してきた理由だ。ドイツのメルセデス・ベンツ、BMW、日本のトヨタ、ホンダ、韓国の起亜(キア)もメキシコを米国市場に進出する足がかりとして利用した。米国が中国と半導体戦争を宣言して求めた代案もメキシコだった。米国で「バックドアをふさごう」という主張が出てきたのは、中国BYDがメキシコ工場設立を推進してからだ。中国企業はメキシコを対米輸出の迂回ルートとして積極的に活用してきた。昨年中国がメキシコに送ったコンテナは88万1000個(20フィート基準)で、2022年より27.8%増加した。米国が大統領選挙を250日後に控えた中でこうした「アメリカファースト戦略」は再び始動する。先に自動車産業の危機感に乗ったのは先月「自動車産業を再び米国に持っ てくる」と明らかにしたトランプ前大統領だ。ここに「半導体推し」に先に立ったバイデン米大統領が加勢した。

EVが強いる自動車再編 日産、ホンダとの協業検討
日産自動車はホンダとの電気自動車(EV)関連事業での協業を検討し始めた。中国勢がEV市場で急速に台頭する中、2023年には提携関係にありEVでも協力する仏ルノーとの資本関係を見直した。長年の競合相手であるホンダとの協業まで検討する日産が浮き彫りにしたのは世界的な電動化シフトの中での生き残りの難しさだ。複数の日産関係者が14日までに、EVに使う部品の共通化などを軸にホンダとの協力を検討していることを認めた。具体的な検討分野として中核部品のイーアクスルなどを共同で調達したり、車台を共通で開発したりして、生産コストの削減を進めることを念頭に置いている。日産は三菱自動車との間で軽自動車をベースにした電動車開発を進めており、こうした提携にホンダが加わる可能性もある。世界の自動車大手は、EV向け電池の自前工場などに巨費を投じており、莫大な減価償却費や原材料価格の高騰が利益を圧迫している。さらに世界最大の中国市場を中心に製品価格が下落しており、各社とも黒字化実現には苦労している。部品調達を共通化するなどして規模を拡大し、コスト競争力を高めることが求められている。

日産は23年、ルノーとの資本関係を見直した。日産が最大6億ユーロ(約960億円)の出資を想定するルノー傘下のEV新会社「アンペア」を通じた協力は続けるものの、同社は想定していた24年前半の株式公開を見送った。アンペアを通じた協力の枠外である北米や日本などの地域では独自の戦略を設定する必要もあり、新しいパートナーとの関係構築が急務だった。世界の自動車市場では中国メーカーが存在感を高めている。急速な電動化シフトを背景に23年の世界の自動車輸出で首位に立った。日本勢の日産やホンダは中国で生産能力を最大で3割削減する計画を進めるなど、これまで成長戦略の基軸だった中国事業の見直しを余儀なくされている。燃費効率に優れたハイブリッド車(HV)で世界に先行した日本勢だが、EVでは劣勢に立つ。マークラインズによると、22年時点の世界のEVの販売台数のメーカー別シェアは中国が30%、米国が20%、欧州は7%に対し日本は2%以下。米S&Pグローバルは世界に占める日本車のシェアは20年の30%程度から、30年に26%弱まで下がると見込む。競争力の維持にはEVシフトに伴う自動車市場の構造変化に対応していく必要がある。日産は10年にEV「リーフ」の量産を始め、世界トップの販売台数を誇っていた。足元ではリーフや軽自動車タイプの「サクラ」など3車種のEVを展開しているが、世界市場では出遅れた。ホンダももともと米ゼネラル・モーターズ(GM)と量販価格帯のEVを共同開発し、27年にも発売する予定だったが、23年にこの計画の中止を決めた。EVでの遅れを取り戻すため自前開発も強化している。もっとも、日産の資金余力が限られる中、ホンダとの協議が円滑に進展するかは不透明だ。実現すれば国内自動車2位と3位の連合ではあるが、予断を許さない。日産はまず国内のEV関連事業で協業を目指すが、将来的には主力の北米市場や東南アジアなどを軸に、提携を拡大する意向を持つ。北米ではEV販売が鈍化しつつある一方、日本勢が強みを持つHVが消費者の支持を得ている。北米でHVを展開していない日産はホンダと協業できれば取り扱う車種の広がりを期待できる。14日午前時点の日本経済新聞の取材に対し、日産は「記事に関してはコメントできません」と応じた。ホンダは取材に「コメントできることはない」とした。14日の東京株式市場で日産株が続伸し、前日比17円40銭(3%)高の568円70銭まで上昇し、終値は2%高の563円60銭だった。ホンダ株も終値は前日比1%高となった。

川柳

              ◎良かったね、珠洲原発が、廃案で

              ◎世直しは、国会よりも、文春に

              ◎あなた(首相)には、命懸けとは、思えない

              ◎この歳で、金利政策、なんなのさ

          宮本政義
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Author: xs498889